2021.9.15

音楽だけの世界から飛び出そう!音楽家×派遣社員のパラレルキャリア

音楽だけの世界から飛び出そう!音楽家×派遣社員のパラレルキャリア
大塚真帆

6歳からマリンバをはじめる。
同志社女子大学学芸学部音楽学科主席卒業。
趣味は、美容。ジョロキア料理(激辛料理)。

音大生が自身のキャリアを考えるために、音大生自身が音大卒業後のキャリアについてインタビュー。

今回のゲストは、同志社女子大学で打楽器を学んでいた大塚真帆さん。

現在は、音楽家と派遣社員のお仕事を両立されている大塚さん。学生時代のエピソードから、なぜパラレルキャリアを選んだのか、などたくさんお話を伺いました。

 

 

 

 

音楽との出会い

 

-大塚さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。

 

最初は、マリンバの演奏をしていた母の影響を受けて始めました。
そもそも家にマリンバがあって、物心ついた頃から遊びながらマリンバを叩いたりしていたんです。そして、私が6歳くらいの時に母が「楽しそうに弾いているし、本格的に始めてみない?」と提案してくれたんですね。

 

-マリンバが家にあるなんて初めて聞きました!

 

関西では、ピアノを習う感覚でマリンバを習うという地域がいくつかあるんですけど、関東では珍しいですよね。6歳でマリンバを始めてから、小学校の頃は毎月演奏会に出演していたんです。それが、当時の私としては体力的にしんどくて、小学校高学年の頃にはマリンバがちょっと嫌になりつつあったんですよね。

 

なので、中学校では吹奏楽部に入ろうかどうかちょっと迷っていたんです。マリンバは嫌だなとも思っていたのですが、打楽器には他にも色々な楽器があることを知ったんですよね。それなら楽しく音楽できるかなと思い、中高は吹奏楽部に入って打楽器を担当していました。
全国大会に出場するような強豪校だったので、当時は一生懸命練習を頑張っていましたね。

 

 

音大が憧れから目標へ

 

-幼いころから音楽に親しんできた中で、音大への進学は自然な流れだったのでしょうか?

 

最初は、音楽を本格的にやること事体にあまりピンときていなくて。付属の大学にハワイ校があったのでそこに留学してみたいな、くらいに思っていました。

 

最終的に音大への進学を決めたのは、音大出身の打楽器の先生や、音大に通っている先輩方の影響が大きかったですね。
高校生の頃に、音大生の先輩から打楽器アンサンブルの演奏会に誘われて行ったことがあったんです。その先輩は憧れの存在だったのですが、その演奏会を聴いて「音大に行けば自分も、先輩みたいになれるかもしれない」と思って、憧れが目標に変わったんです。それをきっかけに、音大受験をしたいなと思うようになりました。

 

 

 

 

ストイックな音大生時代

 

-音大生時代で、印象に残っていることはありますか?

 

当時は「将来は絶対に音楽で生きていく」と思っていたので、すごく真面目に、練習とバイトの行き来しかしていなかったです。本当に遊ばなかったですね。
練習も気持ち悪いくらいストイックにやっていて、後輩からは「大塚さんが練習していると集中しすぎて怖くて話しかけられなかった」と言われていました(笑)周りが見えないくらい、ひたすら練習していたんですよね。手が腱鞘炎になっていても手首に注射しながら練習していたりしたので、先生からはストップをかけられたり、もっと遊びなさい、と言われていました。

 

-先生に「遊びなさい」と言われている方なんて聞いたことがないです…!
大塚さんはコンクールでも賞をとられていたと思うのですが、大学生の時も受けていたのですか?

 

そうですね。大学二年生は、コンクールをひたすら受ける年にしていました。

 

そして三年生の時には、もっと全国の打楽器奏者さんを知りたいと思って、楽器製造会社が主催するキャンプに参加したりしていました。例えば、打楽器が有名なパール楽器や、マリンバで有名なこおろぎ社の主催するキャンプがあるんですね。そこに行くと、全国から打楽器奏者さんが集まってくるので、すごく刺激を受けましたね。「自分はすごく狭い世界にいるな」と感じて、それがきっかけで東京に行きたいと思うようになりました。

 

-そのような経緯があって、音大卒業後は東京にて進学されたのですね。
音大生時代に「怖くて話しかけられなかった」と後輩に言われた、というお話がありましたが、今の大塚さんの雰囲気からは想像できません…!なにかご自身が変わったきっかけはあったのですか?

 

そうですね。大学時代はずっとストイックな生活をしていたので、和らぐことなく卒業しました。私の大学は近くに一般の大学しかなかったので、学外の音楽家と交流する機会が年に数回しか無かったんですよ。なので、大学時代は本当に狭い世界だったんです。

 

大学卒業後、東京に来てから徐々に変わっていった気がします。色んな人に会うようになってからですね。
東京に来てからは音楽家の多い街に住み始めたのですが、近くの居酒屋が音大生たちがよく来るところで、たくさんの音大生や音楽家たちと繋がりました。

 

クラシックだけじゃなくジャズやポップスの世界で優秀な人とか、今まで出会えなかったような方とたくさん出会ったんです。そうやって多くの人と関わる中で、今までは練習することが全てだと思っていたのですが、そうじゃないな、と気づくようになったんですよね。それまではストイック、むしろヒステリックだったんですけど、だんだん楽観的に変わっていきました。こうやって色んな人たちと出会えて本当に良かったなと思っています。

 

 

 

 

派遣社員と音楽の仕事を一緒にやってみよう

 

-大塚さんは東京で進学された後、留学にも行かれたのですよね。帰国してからは、どのようなお仕事をされていたのですか?

 

帰国してからは何か自分で行動しなきゃと思って、デュオグループを立ち上げて各地で演奏したり、お店の人と交渉してカフェで演奏したり、大きなホールで演奏会を開いたり、そんな感じでした。

 

-そういった中で、今の「音楽家と派遣社員」というパラレルキャリアに至った経緯を教えてください。

 

以前、音楽事務所でアルバイトをしていたのですが、そこで得た経験がパラレルキャリアに至ったきっかけですね。演奏の仕事のために所属していた音楽事務所から「アルバイトをしない?」と声をかけていただいたんです。

 

音楽事務所にスタッフとして携わることで、色々なものが客観的に見えてきたんですよね。
例えば、私自身もそうなのですが、音楽家ってクセが強い部分があったりもするじゃないですか。音楽事務所側からの視点でみると、演奏がすごく上手くても、人付き合いしづらいからキャスティングが難しい人がいたり。でも逆に、こういう人だとちゃんと事務所も使ってくれるんだ、ということもわかってきたんですよね。
そういう事務所側から見た演奏家の評価を知って、自分は一般社会の人間として、音楽以外の色々なものをこれから見ていかなきゃいけないな、という思考が芽生え始めました。

 

そう思い始めたのが、ちょうど「音楽だけでは生きていけないし、どうしよう」と思っていた時期でもあったんです。母親からも「社会保険や雇用保険にちゃんと入った上で音楽の仕事することはできないの?」と言われていたりしたので、派遣社員と音楽の仕事を一緒にやってみようかなと思い、パラレルキャリアを始めることになりました。

 

-大塚さんにとって、音楽以外の世界も経験したいという思いと、安定した雇用形態、その両方が叶う働き方だったのですね。

 

 

 

 

音楽でのスキルを活かせる、派遣社員のお仕事

 

-派遣のお仕事はどれくらいの頻度でされているのですか?

 

週3~4日ですね。

 

-住宅メーカーで派遣のお仕事をされていると伺いました。様々な会社がある中で住宅メーカーを選んだ理由を教えてください。

 

住宅メーカーのアテンドというお仕事が、今やっている音楽の仕事のスキルを活かせるなと思ったんです。
アテンドというのは、ショールームにある商品をお客様に説明して案内する仕事なのですが、それって演奏と一緒で人前に立つ仕事なので、そこは他の人より慣れているなと思い選びました。

 

-音楽で学ばれてきたことが活かせるお仕事だったんですね。

 

そうですね。出来れば自分の持っているスキルを少しでも活かせるような仕事が良いな、ということで選びましたね。

 

-派遣社員のお仕事で、やりがいを感じた瞬間を教えていただきたいです。

 

お給料が安定するのでそれもひとつの大事なやりがいだし、音楽家としてだけ生きていると、本当に狭い世界でしか生きていけないことに気づきましたね。派遣社員として働くことで、一般の社会人が持っている価値観や興味のポイントを客観的に知ることが出来たので、それもよかったなと思っています。

 

例えば、派遣先の営業の方に、どうやって売り上げを勝ち取っているのかという話を聞いたことがあるんです。
その営業の方は、「人々がもっている営業マンのイメージってありますよね。人柄や外見、清潔感、言葉遣い、マナーなど。その一般的な営業マンへのイメージや期待値を、少しでも上回ることが大切。そうすることによって、人として自分をどんどん売り込んでいける」とおっしゃっていて。

人々が持っている「営業マン」への一般的なイメージや、期待値を超えていくことによって、商品だけじゃなくて自分を気に入ってもらえて、結果売り上げを伸ばせるという話なのですが、それって音楽家も一緒じゃない?と気づいたんです。

 

この話を聞いて、私は音楽家に対するイメージや期待値を少しでも超えられるように努力したいなと思うようになりました。普通に音楽家として生きていたら知ることが出来なかった考え方だと思いますし、こういった考え方を音楽活動に活かせるのが、私の強みだと思いますね。

 

 

 

派遣での経験が、音楽のお仕事にも活きている

 

-現在の音楽のお仕事について、詳しく教えてください。

 

固定で音楽の仕事をしているのは週1回です。午前中に保育園でリトミックや演奏を行って、午後に音楽講師の仕事をしています。
それにプラスして、イレギュラーで音楽事務所にもらった仕事に入っています。最近はなかなか生の演奏を届けることが難しいので、配信ライブをやったり、tiktokの動画を撮ったり、いつでも売りに出せるような土台作りをしている感じですね。

 

-音楽のお仕事で、何か印象に残っているエピソードはありますか?

 

最近だと、派遣で住宅メーカーのアテンドをしていた時に開催した演奏会が、印象に残っています。
アテンドのお仕事では人前で2時間程しゃべるので、その仕事のおかげか、演奏会中のMCが以前よりも楽に感じるようになったんです。スラスラ言葉が出るようになったんですよね。以前よりもMCが出来るようになって、演奏会全体としてもより質の良いものを提供できたので、自分の中で成長を感じましたね。

 

以前は、MCがあまり得意ではなかったんですよね。緊張してどもったりとか、語尾が小さくなったりしていました。
住宅メーカーのアテンドのお仕事は、発声練習を教えて下さる先生がいらっしゃったりもして、その先生から教わった知識も演奏会のMCに活かせました。練習できる時間は以前より少ないけれど、自分なりに満足できる演奏会が出来たな、と初めて思いましたね。

 

-MCってすごく重要なんですね。

 

そうですね。MCが重要だなと気づいたのは、音楽事務所で働いていた時なんです。

登録するアーティストの演奏資料をチェックしたりもするのですが、MCが評価の7〜8割くらいを占めているなと思っていて。私は音楽家なので演奏が気になるのですが、一般の人からしたら、MCや人間性の部分がほぼ100%と言っても過言じゃないかなと思ったんですよね。その時にMCが大事なんだということに気づいて、もっと客観的に音楽家のことをみれるようになりたいな、とすごく思いました。

 

 

 

 

音楽と派遣のお仕事、両立させるためのコツ

 

-音楽と派遣のお仕事を両立するのはすごく大変だと思うのですが、実際はいかがですか?

 

最初は本当に体力的にしんどかったですね。音楽が好きだから続けられているのですが、どれだけ音楽が好きでも、体力は嘘をつかないのですごくしんどかったです。

 

-仕事を両立させるコツはあるのでしょうか?

 

派遣のお仕事をすると人間関係が仕事先の人たちばかりになるけれど、音楽家の方ともしっかり繋がるようにしています。そうすることで音楽のやりたいことや道が見えてくるし、もしかしたら仕事ももらえるかもしれないし。やっぱり仕事って人と繋がっていないともらえないので、それは意識していますね。

 

あとは、音楽の仕事に対する希望や目標を持って、それに向かってどういう準備が必要なのか、自分の今のスケジュールの中でどういう準備ができるのかを整理して、その目標に向かってコツコツと準備していくことが大切ですね。

派遣の仕事をしていると昼間に頭がすごく活性化されているので、その状態で帰宅後に演奏の練習をすると、良い練習ができるんですよね。派遣で働き始めてからの方が、要領の良い練習ができるようになったなと思っています。

 

-モチベーションを保つためにはどのようなことをしていますか?

 

私の場合、自分のやりたいことや、野望、夢を抱いたときに「よし、がんばろう」とモチベーションが上がりますね。なので、自分のやりたいことをみつけたら、とりあえず行動に移してコツコツやってみる。そこから夢もどんどん広がっていって、自分の気持ちも向上していく感じですね。

 

-とても素敵ですね!
あとは体力も必要だと思うのですが、なにか体力づくりはされているのでしょうか?

 

全くしていないです(笑)体力の負荷に関しては、私の場合、休みの日にたくさん眠ったら回復するんですよね。
最初は体力的にもしんどかったのですが、ストレスの負荷も結構ありましたね。ストレスに関しては、あんまりよろしくないかもしれないのですが、お酒を飲んだり、好きなものを食べたり、好きなことをする「チートDAY」を作ってストレスを発散しています。

 

-チートDAY、いいですね!

 

 

 

 

今後の展望と後輩たちへのメッセージ

 

-大塚さんの今後のキャリアや目標について教えてください。

 

音楽のお仕事に関しては、今土台を使っているところなので、コロナが落ち着いたらそれをどんどん売り出していきたいです。アンサンブルグループで全国ツアーにも行きたいし、最近受けたテレビ案件*などもどんどん受けていきたいなと思っています。
*大塚さんは、2021年4月22日 東京MXのライコレTVに出演されました。

 

そしてリトミックの勉強に関しては、もうワンステップ上の資格をとって、より本格的なリトミックを子供たちに提供していきたいなと思っています。継続して自分のスキルアップをしていきたいですね。

 

パラレルキャリアでやらせてもらっているもう一つのお仕事に関しては、来月からとある音楽プロデューサーの方が経営している美容サロンで働かせてもらうことになりました。

私、実は美容にもすごく興味があって、もし音楽家じゃない人生を歩んでいたら美容サロンを経営したいと思っていたんですよね。だからそれも実現したいなと思っていて。音楽家を続けながら美容の施術も学んで、いつか音楽家が通う美容サロンを経営したいです。

 

そのプロデューサーさん曰く、経営者になってお店が売れれば、お金が能動的に入ってくるので、例えば自分がお店にいなくても、演奏活動をしながらでもお店にお金が入るようになるんですよね。それで経営者になるのが一番の理想だなと気づいたので、来月から頑張りたいなと思っています。

 

-すごい野望ですね!

 

やることがいっぱいで本当に叶うかどうか…。自分の努力次第です。

 

-大塚さんのパッションや向上心をもってすれば実現できると思います。お店がオープンした日には施術を受けに行きたいです!

 

ありがとうございます!

 

 

-では最後に、音大生に向けてメッセージをいただければと思います。

 

私自身、音大にいる時にしっかり自分の知識も技術もつけたし、音楽的な土台作りはしっかりできたと思うのですが、ただ、音大の頃からもっと幅広い視野で社会を見れていたらよかったな、とすごく後悔していて。もし自分が大学三年生の過去に戻ったら「もっと世界は広いんだぞ」ということをすごく言いたいですね。

 

例えば、音大生が卒試や実技試験にいっぱいいっぱいになっている時に、他の一般大生は自分の可能性を求めて、学外に就職活動をしに行っていたんですよね。そういったことを、当時もっと意識していれば良かったなと思っています。

 

なので今の音大生には、音大という狭い世界からもっと視野を広げてもらって、自分に合った生き方や本当にやりたいことを見つけていただきたいです。視野を広げることによって選択肢が増えるので、大学生のときは選択肢を限りなく増やして、その中から自分に本当に合った生き方をぜひ選んでほしいですね。
要するに、「世界はもっと広いんだぞ」ということを伝えたいです。

 

-音大の中にいるのもいいけれど、外の世界にも目を向けていろいろ行動するといいよ、ということですかね。

 

そうですね。
目標があって音楽の世界に一目散に走っている人でも、外の世界を知って悪いことってないと思うんですよね。良いことしかないと思うので、ぜひ外の世界にどんどん目を向けてほしいなと思います。

 

 

田辺七星
神奈川県出身。日本大学芸術学部音楽学科声楽コース4年在学中。趣味は読書。
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